研究

現在進行中の研究

SANADA study

急性膵炎の前向き多施設観察研究(SANADA study: multicenter proSpective cohort in pAtieNts with severe And milD Acute pancreatitis)です.

本邦における急性膵炎の短期及び長期的な予後とその成因を解明することを目標に,多数の参加施設とともに今後の急性膵炎の診療に重要となる項目を必要十分に網羅したデータベースを作成しております.

本研究は日本膵臓学会,日本集中治療医学会,日本集中治療教育研究会の支援のもと進めております.

現在,日本全国より44施設が参加しています.

RAPID study

軽症膵炎に対して迅速に低脂肪の固形食を開始することの有効性の検討:多施設ランダム化比較試験(RAPID study: benefit of immediate oRAl intake of low-fat solid diet in mild acute PancreatItis: multicenter randomizeD controlstudy)です.

重症急性膵炎における早期経腸栄養の有効性はガイドラインでも示されていますが,これが軽症膵炎でも有効であるかどうかはまだ不明なままです.本研究は日本膵臓学会の支援のもと,軽症膵炎患者において迅速に低脂肪の固形食を開始することによって膵炎の重症化を抑制するかどうかを検証します.

この研究によりこれまで絶飲食治療が標準治療で合った軽症膵炎の治療方針が180°変わり得ます.

現在,日本全国より31施設が参加しています.

MUSCLE study

重症急性膵炎に対して早期に十分なタンパク質を投与することの有効性の検討:多施設ランダム化比較研究(Muscle study: MUlticenterS of randomized ControL study Early and adequate protein administration for severe acute pancreatitis)です.

重症急性膵炎では早期経腸栄養により死亡率が下がると報告されていますが,適切なタンパク質の投与量とタイミングは明らかになっていません.集中治療室に入る患者全体では多めのタンパク質投与が勧められているものの,その根拠となる研究は多くありません.また一方で,入院直後に多めのタンパク質の投与することは予後を悪化させるとの報告もあります.

そこで本研究はパイロットスタディとして重症急性膵炎の患者において早期(入院4日以降)に十分なタンパク質を投与することが膵炎の改善に有用な可能性があるかどうかを検証します.


過去の研究

SAP-CRAI

局所膵動注療法(Continuous Regional Arterial Infusion;CRAI)は,本邦で用いられる重症急性膵炎に対する治療的介入の一つです.しかしCRAIに関する有効性を報告した研究は本邦を中心に多く存在しますが,CRAIの有効性を支持する質の高い研究は依然少なく,その立場はControversialと考えざるを得ない状況です.
そのため,今回多施設後ろ向き観察研究としてCRAIの有用性を検討します.